妻の麗子とは、大学の時に出会った。僕は、長野の山奥から東京に出て、右も左もわからないままあっという間に1年が経とうとしていた。サークル活動や、飲み会、バイト、そういった物とは無縁だった僕は、学校と書店と自宅を行き来するだけのような日々を送っていた。
1年も経つと、さすがに色々慣れてきた。秋葉原や神田の古書店に行ったりするようにもなったし、外食する場所も増えた。始めの頃は自炊をしていたが、近所の個人経営の小さな定食屋さんに行くようになり、最近では住んでいるマンションの近くの商店街の色々なお店にも行くようになった。